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マンガ&解説「繁盛への道」Vol.03 原価率を下げるには食材の変更で-?

不況で売上が下がり、利益を確保するのがより難しくなっている。利益を確保するには、原価率の低減も重要なテーマになっているが、そのためにはどんな取り組みから着手すべきだろうか。すぐに原価率を下げようと思えば、食材を変更するなどの手もあるが…。

どっちを選ぶ? 食材の変更から着手する or 食材の変更が最初ではない

 一般的に売上が上がると、注文増によって食材の回転もよくなってロスが減り、仕入れのスケールメリットも出て原価率を下げやすい。逆に、売上が下がると、原価率は上がりやすくなる。

 そしていま、この不況で多くの店が売上減に直面している。しかも、原価率が上がってしまえば、利益の確保がより難しくなる。原価率をいかに下げるかが、大きなテーマになっていると言える。

 例えば、月商500万円で、原価率が30%の店があったとしよう。この店の原価は150万円で、残りの350万円が粗利益額である。この粗利益額から諸々の経費を引いたものが、この店の利益だ。

 この店が、不景気の煽りで、売上を450万円に落としたとしよう。原価率が30%のままなら、原価は135万円で粗利益額は315万円にまで減ってしまう。売上が450万円に減っても、以前と同じ350万円の粗利益額を確保するには、原価率を約22%にまで落とさなければならない。厳密に言うと、売上が下がった分、他の経費も減るので、実際には原価率を26%程度に下げることで、以前と同じ利益の確保を目指すことになるだろう。

 それでも、30%だった原価率を26%に落とすのは容易ではない。安易に原価率を下げて、商品力を低下させてしまうことが危険なことは言うまでもない。しかし、それに近い数字を目指して、できることを実践していく経営努力は必要だ。

 では、どうすべきか。以下のような取り組みが基本になる。

 ●材料費の値下げ交渉
 ●業者の変更
 ●食材の有効利用対策(ムダをなくす、共通食材メニューの工夫等)
 ●利益率の高い新メニューの開発

 原価率を下げるといっても、単にメニューのボリュームを減らしたり、食材を変更してしまうと、商品力の低下につながりやすい。その前に、業者との交渉や新メニューの開発などに取り組むべきである。中でも新メニューの開発では、いかに付加価値を高めて利益率を上げるかがポイントになる。もちろん、その付加価値の高め方が簡単ではないから頭を悩ませるわけだが、「五感に訴えるメニュー」や「独自の食材」「オリジナルの味」といった付加価値アップの手法を駆使し、決してあきらめることなくチャレンジしていくことが大事だ。

 『よろずや食堂』でも、食材の変更の前に、もっと視点を広げて原価率低減策を考えるべきである。

成功実例|原価率が下がる仕掛けと、維持する取り組みを徹底

 地方都市の繁華街にある食堂M店は、原価率が安定しなくなり、40%を超えることもしばしば…という状況になってしまった。そこで、「原価率が下がる仕掛け」と「下がるように仕掛けた原価率を維持する」原価管理の流れを徹底した。もちろん、お客様の満足度を上げる取り組みも忘れていない。そんな同店の取り組みは以下のようなものだ。

 ◎メニュー内容、メニューレイアウト、プライスゾーンの改善。価格表記、ネーミングの改善。
 ◎五感を意識。提供方法の演出を強化。盛り付けや味付けの変更。
 ◎PR方法の改善。接客の改善。
 ◎食材選定、業者選定、調理手順、ロス対策、発注方法の改善。

 これらの項目を地道に徹底することでスタッフの意識も高まり、原価率を低減させることができた。

今月のおさらい

幅広い視点で原価低減策を

 不況下で利益を確保するには、原価率の低減も重要なテーマ。しかし、単にメニューのボリュームを減らしたり、食材を変更してしまうと、商品力の低下につながりやすい。その前に、業者との交渉や、付加価値の高い新メニューの開発などに取り組みたい。