Aさんの例
居酒屋を3店舗経営するAさんは、漠然と「今後も出店していきたい」と考えていました。
そんな中、ちょうど「出店したいな」と思っていたエリアに良い物件が出たので、その物件で出店することにしました。
総投資額が3,000万円でしたので、取引銀行に3,000万円の融資を申込んだところ、「保証協会付きなら3,000万円の融資が可能」という回答があったので、安易にそれで融資を受けて出店しました。
その出店から半年が過ぎて新店舗も落ち着き始めた頃、もう一つ良い物件が出てきたのでAさんはもう1店舗出店することを決意しました。
今度の総投資額は同じく3,000万円です。
そこで取引銀行に3,000万円の融資を申込んだところ、「保証協会の保証枠が残っておらず、プロパーでも1,000万円が限界」という回答がありました。他の銀行に聞いても同じような回答ばかり。
リース会社に聞いたところ、「1,000万円ならリースが組める」という回答でした。
しかし、残り1,000万円が足りません。
手元資金を使ってしまうと、手元資金残高が月商1ヶ月分を下回ってしまって心もとない。
総投資額を下げることができないかを検討し、工事業者等との交渉もしましたが、総投資額は2,800万円までしか下げることができなかったので、Aさんは仕方なく、手元資金800万円を使って出店することにしました。
ところが、この新店舗がなかなか軌道に乗らず、月次損益が黒字化するまで半年かかってしまい、その間に手元資金がどんどん減っていき、綱渡りの経営が続きました。