成功のウラに潜むリスク
新規出店は「最大のチャンスでもあり、最大のピンチでもある」というお話をすることがあります。
これは、既存店舗のみでの事業拡大には限界があるため、事業拡大をしていく上では(他業界への進出等を除けば)やはり新規出店が一番有効な施策になってきます。
一方で、外食企業の業績およびキャッシュ・フローが急激に悪化する可能性が一番高いのも(リーマンショック等の特殊事情を除けば)やはり新規出店です。
つまり、新規出店に失敗すれば一気に会社全体のピンチになる可能性が高いということです。
では、この「失敗」とはどういう状態を指すのでしょうか?
以下の簡単な例をもとに見ていきましょう。
ケース1
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新店舗のキャッシュ・フロー |
1ヶ月目 |
▲100万円 |
2ヶ月目 |
▲90万円 |
3ヶ月目 |
▲80万円 |
6ヶ月目 |
▲80万円 |
7ヶ月目 |
▲80万円 |
12ヶ月目 |
閉店 |
新店舗のキャッシュ・フローに大きなマイナスが続き、そのマイナスを既存店舗で補いきれず、結果、新店舗の閉店だけではすまず、会社そのものが倒産してしまうというのが最悪な失敗ケースです。
ケース2
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新店舗のキャッシュ・フロー |
1ヶ月目 |
▲100万円 |
2ヶ月目 |
▲90万円 |
3ヶ月目 |
▲80万円 |
6ヶ月目 |
▲50万円 |
7ヶ月目 |
▲50万円 |
12ヶ月目 |
閉店 |
新店舗のキャッシュ・フローに大きなマイナスが続き、少しずつは改善してきたものの、やはりそのマイナスを既存店舗で補いきれず、会社全体での預金残高もどんどん減ってきたので、新店舗を閉店して会社そのものの倒産を回避するという失敗ケースもあるでしょう。
ケース3
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新店舗のキャッシュ・フロー |
1ヶ月目 |
▲100万円 |
2ヶ月目 |
▲90万円 |
3ヶ月目 |
▲80万円 |
6ヶ月目 |
▲50万円 |
7ヶ月目 |
+10万円 |
12ヶ月目 |
+30万円 |
新店舗のキャッシュ・フローが、当初大きなマイナスになってしまったけれども、7ヶ月目にはプラスに転じ、その後は少しずつ上昇傾向になったというケース。
これでも「失敗」といえる場合があります。
たとえば、
ケース3-1
手元資金を十分に確保しないまま出店してしまい、6ヶ月目には預金はほぼゼロになってしまった。
7ヶ月目にプラスに転じたので何とか閉店や倒産の危機を免れた。
ケース3-2
当初、手元資金は十分に確保して出店したものの、初期投資の見積もりが甘く、当初3,000万円の予定で融資の手配も3,000万円にしていたが、工事が進むにつれて初期投資がどんどんかさんで行き、最終的に3,500万円になってしまった。
そして、その増えてしまった500万円を手元資金から支払ってしまい、結果として、手元資金の残高が一気に減ってしまった。
といったケースも「失敗」のうちに入ると思います。
ではこれらを防ぐためにはどうすればよかったのでしょうか。