マッチングプラス

飲食店の多店舗展開マネジメント

07 決算書のカベ
Profile 廣瀬 好伸(ひろせ よしのぶ)

公認会計士・税理士
株式会社ビーワンフード 代表取締役
飲食業に特化した「お金の専門家」として幅広くコンサルティングを行う。
飲食店経営者・店長向けに、セミナーや研修も数多く実施。
著書に『1店舗から多店舗展開 飲食店経営成功バイブル: 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』。

借りることができたらOK…ではない!?

このように、みなさんの会社の決算書の数字を銀行のシステムに登録すると、いろいろな経営指標が計算され、その内容が分析されて、ランキングが決定されるのですが、この「経営指標」は、自己資本比率、売上高経常利益率、売上高成長率など、一般的によく知られているものもあれば、総資本経常利益率、債務償還年数など、あまり知られていないものもあります。

こういったいくつもの「経営指標」の結果をもとに「格付け」が決まってくるので、「どれくらいの利益を出せばいいのか」「出店のタイミングはいつがいいのか」「借入とキャッシュ・フローのバランスはどうすればいいのか」など、全体としてこれらの経営指標をどうやって改善していくかが重要になります。

私の経験上、世の中の決算書はこういったことに注意しながら作られていることが少なく、「税金がいくらになるか」といった視点中心になってしまっていることが多いです。
弊社の統計でいえば、決算書が100個あれば、そのうち95個はこの「格付けを上げる」という視点からすれば間違った作り方になってしまっています。つまり、みなさんの決算書も知らないうちに損をする作り方をしてしまっているかもしれません…。

このような感じで「借りられるか」「借りられないか」が決まってきます。
そして、その他の融資条件(借入期間や金利など)もこの「格付け」が基準となってきます。
格付けが上がってくれば、(もちろんそれだけでもダメですが)社長の連帯保証を外すことも可能です。

つまり、この「格付け」が高いということは「資金調達力がある」ということであり、みなさんが希望する条件で借りられる可能性が高くなるということです。

ぜひこれを機会にご自身の決算書の見直してみてください。

そして、「借りられたらいい」というものではなくて、たとえば新規出店時の融資であれば「いい条件、つまり、その新規出店が失敗しないために必要な条件で借りる」ことが必要なのです。