マッチングプラス

飲食店の多店舗展開マネジメント
01 どんぶり勘定のカベ

Profile 廣瀬 好伸(ひろせ よしのぶ)

公認会計士・税理士
株式会社ビーワンフード 代表取締役
飲食業に特化した「お金の専門家」として幅広くコンサルティングを行う。
飲食店経営者・店長向けに、セミナーや研修も数多く実施。
著書に『1店舗から多店舗展開 飲食店経営成功バイブル: 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』。

データをもとに原価率をコントロール

[事例]

では、「どんぶり勘定のカベ」を乗り越え、データ・マネジメントを実践するにはどうすればいいのでしょうか?

Aさんの例
Aさんは居酒屋4店舗を経営しています。
7月の店長会議で、新橋店の原価率が高かったので、Aさんは店長に「原価率が高いぞ!もっと下げろ!」と指示を出し、店長は「は、はい!頑張ります!」とこたえました。
しかし、8月の店長会議でも原価率が高いままだったので、Aさんは店長に「下がっていないじゃないか!」と言うと、店長は「す、すみません。何とかします!」とこたえました。
しかし、9月も…

Bさんの例
Bさんは居酒屋5店舗を経営しています。
7月の店長会議で、日本橋店の原価率が高かったので、Bさんは店長に「原価率が高いぞ!下げられるか?」と聞いたところ、店長は「はい。データを確認したところ、ドリンクの原価率は正常な範囲で、フードの原価が高いことがわかりました。さらにABC分析をしてみたところ、7月はメニューの中でも◯◯と××が非常に多く売れたのですが、そもそもこれらのレシピ原価が高めになっているので、全体の原価率を高くしてしまったのだと思います。なので、8月はこれらのメニューのレシピやポーションを見直しつつ、それ以外の原価率低めのメニューをオススメしながら、全体の原価率を下げていきたいと思います」とこたえました。
そして、8月の店長会議では日本橋店の原価率は正常な範囲内に下がっていました。

どちらが原価率をコントロールできそうかは明らかですね。
Aさんの会社のように勘で経営するのではなく、Bさんの会社のようにデータも活用しながらロジカルに経営することで、どんぶり勘定のカベを乗り越えていきましょう。