マッチングプラス

飲食店の多店舗展開マネジメント
01 どんぶり勘定のカベ

Profile 廣瀬 好伸(ひろせ よしのぶ)

公認会計士・税理士
株式会社ビーワンフード 代表取締役
飲食業に特化した「お金の専門家」として幅広くコンサルティングを行う。
飲食店経営者・店長向けに、セミナーや研修も数多く実施。
著書に『1店舗から多店舗展開 飲食店経営成功バイブル: 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』。

お金の管理にデータを活用する

1店舗であればオーナーが現場に入ることができて、店舗経営の状況が手に取るようにわかるのでマネジメントもしやすいですが、店舗数が増えてくると、すべての店舗で毎日現場に出ることはできなくなるので、そうなってくると別の方法で各店舗をマネジメントしないといけなくなります。つまり、どんぶり勘定のままでは店舗や会社全体の状況が正確に把握できず、そのため適切な指示や改善ができなかったりするので、多店舗展開する上ではそれが大きなカベとなってしまいます。

そのどんぶり勘定のカベを乗り越えるのに必須なのがデータです。
つまり、店舗経営の状況がわかるデータ(業績結果等)を集め、それを分析して、各店舗に適切な指示を出す(マネジメントする)、ということです。

ということは、まずはそのデータを集めないといけないのですが、Aさんのような大雑把なデータ(原価率が高いというだけのデータ)では不十分で、Bさんのように詳細なデータ(フード原価とドリンク原価/レシピ原価/ABC分析結果など)が必要です。

また、集めたデータをしっかりと分析できなければなりません。
たとえば、経理や顧問税理士から報告される月次の業績や決算書が読めないといけません。
特に多店舗展開をするのであれば、店舗の損益だけではなく、会社全体の財務(お金)もしっかりとマネジメントしないといけません。

「利益は出ているのにお金が残らない」というお悩み事もよく聞きます。
「利益が出ているからといってお金が残るわけではない」「ではなぜ残らないのか」といったことをしっかり把握しておくことも必要です。

データ・マネジメントは、この他にも、シフト管理(人件費のコントロール)、経費のコントロール、新規出店、融資といった場面でも必要になってきます。
こういったデータ・マネジメントを活用することで、「ヒト・モノ・カネ」のカネの部分をうまくコントロールでき、どんぶり勘定のカベを乗り越え、安心・安全に多店舗展開をしていけるはずです。