マッチングプラス

飲食店の多店舗展開マネジメント

10 税金対策のカベ
Profile 廣瀬 好伸(ひろせ よしのぶ)

公認会計士・税理士
株式会社ビーワンフード 代表取締役
飲食業に特化した「お金の専門家」として幅広くコンサルティングを行う。
飲食店経営者・店長向けに、セミナーや研修も数多く実施。
著書に『1店舗から多店舗展開 飲食店経営成功バイブル: 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』。

「税金を減らす=利益を減らす」

さて、これを前提として、今回の本題である「税金対策のカベ」についてお話したいと思います。

利益が出たとき、多くの会社で「どうにかして税金を減らせないか」ということに頭を悩ませていらっしゃるのではないでしょうか。
税金を減らすということは、つまり、利益を減らす、ということです。
税金(特に法人税等)は利益を基準に計算されるので当然そうなりますよね。

では、利益を減らすとどうなるでしょう。

先ほど申し上げた経営指標の数値が悪化します。
たとえば、自己資本比率(自己資本額)、経常収支比率、債務償還年数、総資本経常利益率、売上高経常利益率が悪化します。
つまり、多くの経営指標が悪化する(または良くはならない)ということになります。

そうすると、結果として、銀行格付けがなかなか上がらず、「借りたいときに借りられない」「金利や返済期間といった条件面がなかなか良くならない」という状況になってしまいます。

これは、店舗展開を目指す会社にとって、非常に大きな「足かせ」になってしまいます。
なぜなら、直営店を店舗展開するには銀行からの融資がどうしても必要になってきますし、店舗数が増えてくれば融資総額もどんどん増えていくので、この銀行格付けが上がらないと、店舗展開に従って思うように融資が受けられないということになってしまいかねません。