マッチングプラス

飲食店の多店舗展開マネジメント

10 税金対策のカベ
Profile 廣瀬 好伸(ひろせ よしのぶ)

公認会計士・税理士
株式会社ビーワンフード 代表取締役
飲食業に特化した「お金の専門家」として幅広くコンサルティングを行う。
飲食店経営者・店長向けに、セミナーや研修も数多く実施。
著書に『1店舗から多店舗展開 飲食店経営成功バイブル: 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』。

利益を減らしすぎたデメリット

利益を減らしすぎると次のようなことも起こりかねません。

①損益計算書から簡便的にキャッシュ・フローを計算する方法として、
簡易キャッシュ・フロー=利益+減価償却費
という方法がある。
たとえば、これが1,000万円だったとする。

②一方、毎年の借入金の元金返済額が800万円だったとする。

③この両者を比べると、
簡易キャッシュ・フロー1,000万円>借入金返済額800万円
となっているので、獲得したキャッシュ1,000万円によって、借入金返済額800万円がまかなえている状態となっている。

④仮に、簡易キャッシュ・フローが700万円だったとすると、借入金返済額800万円をまなかえていない状態となり、足らずの100万円は他から調達してくるか、手元のキャッシュを使う(手元資金が減る)といった方法を取らざるを得なくなる。

つまり、利益を減らしすぎると、「現状では獲得したキャッシュで、借入金が返済できていない(=資金繰りがしんどい)」というように銀行から見られてしまう可能性があります。
そうなると、融資を申込んだ際にも、「現状の資金繰りがしんどいので融資を申し込んでいるのではないか」とネガティブにとらえられてしまって、融資をしてもらえない、というような事態にもなりかねません。