マッチングプラス

飲食店の多店舗展開マネジメント

09 損益計算書のカベ
Profile 廣瀬 好伸(ひろせ よしのぶ)

公認会計士・税理士
株式会社ビーワンフード 代表取締役
飲食業に特化した「お金の専門家」として幅広くコンサルティングを行う。
飲食店経営者・店長向けに、セミナーや研修も数多く実施。
著書に『1店舗から多店舗展開 飲食店経営成功バイブル: 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』。

「原価率と人件費率」は税抜金額で計算を!

2. 原価率と人件費率
原価率
=売上原価131,528,751円÷売上高394,871,022円×100
=33.3%
人件費率
=人件費150,249,348円(=役員報酬23,000,000円+給与手当64,333,295円+雑給46,072,664円+賞与6,118,778円+法定福利費10,724,611円)÷売上高394,871,022円×100
=38.1%

これはみなさんご存知の指標でしょう。
特に説明は不要だと思いますが、注意点としては「税抜金額で計算すべき」ということです。
PLに関する指標すべてについて言えることですが、税込金額で計算した結果と税抜金額で計算した結果は一致しないことが多くあります。
正しくは、税抜金額で計算した結果です。

たとえば、売上高100(税込108)、原価30(税込32)、人件費30(消費税はかからない)とすると、税込金額で計算すれば原価率29.6%、人件費率27.8%であるのに対して、税抜金額で計算すれば原価率30%、人件費率30%となるので一致しません。

繰り返しになりますが、正しくは税抜金額です。
税込金額で計算すれば、原価率や人件費率が実体よりも良く見えてしまうので誤解のもとになってしまいます。

なお、居酒屋業態の黒字企業平均値は、ある統計データによると原価率34.0%、人件費率34.3%となっており、それと比べると株式会社ABCは、原価率はほぼ平均値と同じ、人件費率は若干悪いと言えますが、あくまでこれは参考数値であって、同じ居酒屋業態でも業態やオペレーション方法等によって、原価率や人件費率は全く異なってくるため、それぞれの業態の目標値と見比べていくことが重要でしょう。