マッチングプラス

飲食店の多店舗展開マネジメント

08 貸借対照表のカベ
Profile 廣瀬 好伸(ひろせ よしのぶ)

公認会計士・税理士
株式会社ビーワンフード 代表取締役
飲食業に特化した「お金の専門家」として幅広くコンサルティングを行う。
飲食店経営者・店長向けに、セミナーや研修も数多く実施。
著書に『1店舗から多店舗展開 飲食店経営成功バイブル: 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』。

高ければ高いほど良い「自己資本比率」

1. 自己資本比率

【純資産の部合計÷負債及び純資産合計】=27.4%

一度は聞いたことがある指標ではないでしょうか。

純資産は「資本金+利益剰余金(いままでの稼ぎ)」で自己資本(自分のお金)と言います。
一方、負債は他人資本(他人のお金)と言います。
これらの合計が会社として調達したお金です。

つまり、自己資本比率は、会社が調達したお金のうち、自分のお金の割合です。

他人のお金の代表例は借入金ですが、これは返済しなければなりませんし、利息もつきます。
一方、自分のお金は基本的には返済する必要もなければ利息をとられることもありません。
ですので、自分のお金の割合が高いほうが資金の調達方法としては安全なので、この自己資本比率は高いほど良いとされています。

株式会社ABCは居酒屋業態の店舗を経営していますが、ある統計データによると黒字企業の自己資本比率の平均値は31%程度となっているので、その水準と比べるともう一息というところです。

ただし、「比率」だけではダメです。
株式会社ABCは自己資本比率という「比率」はそれなりに高いものの、自己資本そのものの「額」はまだ約4,000万円と少額ですので、早くまずは5,000万円、1億円という壁を突破したいところです。