「純有利子負債と手元資金」で財務体質を判断
4. 純有利子負債と手元資金
現金や預金、短期有価証券などすぐに換金できる資産を差し引いた正味の有利子負債のことを「純有利子負債」と言います。
有利子負債が多くても、手元資金を多めに持っていれば、必ずしも財務体質が悪いとはいえないということです。ちなみに、この純有利子負債がゼロ以下になることを「実質無借金」と言ったりもします。
株式会社ABCを見てみると、この純有利子負債は△3,977,735円(=有利子負債58,495,222円-現金及び預金62,472,957円)、つまり実質無借金となっていて財務的には非常に良好といえます。
ただ、実質無借金だからといって必ずしも良いとは言い切れない部分もあります。
どういうことかというと、「まだまだ借り入れすることができるのに、借入をして新規出店し、事業を拡大するという機会・スピードを失ってしまっている(経営にレバレッジが効いていない)」という見方もできてしまいます。
一方、株式会社ABCの手元資金は62,472,957円(現金及び預金)で、月商32,905,919円(=売上高394,871,022円÷12ヶ月)の1.9ヶ月分(=62,472,957円÷32,905,919円)となっています。
一般的には月商の2ヶ月から3ヶ月分程度の手元資金があれば良いと言われることが多いので、株式会社ABCの手元資金の水準は決して悪くありませんがもう一息というところです。
手元資金が少ない場合は、キャッシュ・フローの改善が急務になります。
これ以外にもたくさんの見方がありますが、今回は貸借対照表の代表的な見方についてお話しました。ぜひ一度ご自身の会社の決算書と見比べてみてださい。