マッチングプラス

飲食店の多店舗展開マネジメント

08 貸借対照表のカベ
Profile 廣瀬 好伸(ひろせ よしのぶ)

公認会計士・税理士
株式会社ビーワンフード 代表取締役
飲食業に特化した「お金の専門家」として幅広くコンサルティングを行う。
飲食店経営者・店長向けに、セミナーや研修も数多く実施。
著書に『1店舗から多店舗展開 飲食店経営成功バイブル: 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』。

「債務償還年数」で借入金の返還年数を把握する

3. 債務償還年数

【(有利子負債-運転資金)÷キャッシュ・フロー】
=(58,495,222-(-2,055,626))÷36,506,840円=1.7年

※有利子負債=長短借入金+社債
株式会社ABCの場合は、長期借入金58,495,222円。
※運転資金=売掛金+在庫-買掛金
株式会社ABCの場合は、売掛金7,622,661円+原材料4,573,015円-買掛金14,251,302円=△2,055,626円。
※キャッシュ・フロー=(税引後)当期純利益+減価償却費合計
株式会社ABCの場合は、当期純利益15,804,912円+(減価償却費12,665,841円+長期前払費用償却1,133,992円+繰延資産償却6,570,904円+長期前払費用償却(外)331,191円=36,506,840円。
ただし、キャッシュ・フローの計算方法はいろいろとありますが、ここでは(税引後)当期純利益を基準として計算しています。

これも非常に重要な指標です。
簡単に言うと「いまのキャッシュ・フローがあれば、いまの借入金を何年で返すことができるか」を見ています。もちろん短いほうがいいですよね。一般的にはこの指標が10年以内なら良いとされていますが、ある統計データによると居酒屋業態の黒字企業平均値は2.4年(計算方法が少し異なるので参考値)なので、株式会社ABCは優良といえます。
つまり、いまのキャッシュ・フロー獲得能力から見れば借入金の負担はまだ軽く、まだ借入余力はあるということですね。

逆にこれが10年を超えてくれば、追加で借入をしていく際のハードルが非常に高くなる可能性があります。