マッチングプラス

飲食店の多店舗展開マネジメント

08 貸借対照表のカベ
Profile 廣瀬 好伸(ひろせ よしのぶ)

公認会計士・税理士
株式会社ビーワンフード 代表取締役
飲食業に特化した「お金の専門家」として幅広くコンサルティングを行う。
飲食店経営者・店長向けに、セミナーや研修も数多く実施。
著書に『1店舗から多店舗展開 飲食店経営成功バイブル: 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』。

資金調達と投資のバランスを見る「固定長期適合率」

2. 固定長期適合率

【固定資産÷(固定負債+純資産)】=64.7%

これはあまり聞いたことがない指標かもしれません。

固定資産、つまり、店舗の内装や厨房機器や保証金といった投資は基本的には何年かにわたって投資回収していく。
こういった長期の投資は回収までに長期間かかるため、この投資に必要な資金も長期の調達(返済期間が長い固定負債やそもそも返済しなくてもいい自己資本)の方が望ましいですよね。このバランスを見ている指標です。

固定長期適合率が100%を下回る(かつ、それが低ければ低いほど)ということは長期の資金調達で長期の投資がまかなえているということで資金調達と投資のバランスは良いと見ることができます。

ある統計データによると居酒屋業態の黒字企業平均値は90.0%となっているので、株式会社ABCは良好な水準といえます。
逆にこの比率が100%を超えるということは、短期間で返済しなければならない資金で長期の投資をしてしまっている部分があるということです。
たとえば、店舗の投資回収に2年〜3年かかるとした場合、その投資額の一部を1年以内に返済しなければならない短期借入金で調達して投資をすれば、投資回収のスピード以上に返済のスピードが早くなって、キャッシュ・フローが厳しくなってしまう可能性が高くなります。